「大学情報化のトータルプロデュース」 -3

先の「情報化の4つのポイント」を簡略化して表現してしまうと、
⒈ ハードウェア
⒉ ソフトウェア
⒊ コンテンツ
⒋ サポート
ということになります。
 そして、もう一度復習の意味で確認しておきましょう。それは、上記4つのうち一つだけを充実させることでニュース性ばかりに気を取られていることが、極端に多いと言えます。例えば一番わかりやすいのが、1. のハードウェアに力を入れ、パソコンやタブレット端末を導入し、場合によっては学生全員に配布するなどです。学生全員が、タブレット端末を持つことの意味は、必ずしも間違っていることではないと思いますが、これを教育という名目と広報的な視点だけでとらえて、ただただ配布するだけでは「何に使うの?」という疑問ばかりが浮き彫りになり「何に使うのか考えてから環境を用意しなければ宝の持ち腐れになる。」という人たちの意見が大勢を締めます。一方「そんなことばかり言っていないで、まず環境を用意することで、何かを生み出す切っ掛けを作り出すことが重要だ。」という意見も多く聞かれます。そしてどうなるかというと、結局何もしないまま、次回へ先送りという結論に行きつきます。つまり「ニワトリとたまご」の関係を論じて終わりということなのです。そうなると本来の結論を出せないまま時間だけが経過し、いつまで経っても足踏み状態が続いていることで、諦めというか「まあ良いか」という程度に諦めてしまうのです。こんなことが日常茶飯事になっている大学は、おそらく最初に大きな波に襲われることなにるでしょう。つまり、これが最も悪い例です。皆さんそれぞれの大学における状況を思い浮かべつつ、こんな状況が生まれてしまうのは、何が足らないのかをよく考えてみてください。結局のところ、何となく怠惰なだけなのではないでしょうか。何かしら動き始めれば亀裂が生じ、修復に費やすエネルギーは、並大抵ではありません。結局それが嫌で動かないことが多いのではないでしょうか。
 しかし、この亀裂こそが新しい芽を生み出す大きなきっかけとなってくるのです。亀裂を修復するには知恵が必要となり、その知恵が新たな形を創造するうえでの大きな力となるのです。先にあげた4つのポイントのうち、一つを特化して殻を破り、残りの3つに生じた亀裂を順次改善していく、そして次に2.ソフトウェアについて力を入れ、新たな活用環境を組み立て、続いて4.サポートで、ハード環境のサポート、ソフト利用のサポートの要員体制を充実、そして、ここから生まれる3.コンテンツの貯蔵と公開へと進めていくというのが、順当な進め方と言えるのではないかと思います。その意味では、一番表現しやすいのが1.のハードウェアですが、実は最もスムーズに情報化を進められるのが、4.のサポートなのです。ここに大学情報化のポリシーが盛り込まれ、それが具体的に機能し始めた時こそ大学情報化が最もすぐれた形で推進されていくのです。