「大学情報化のトータルプロデュース」 - 1    『情報の物々交換市場』

 大学における情報環境という視点でいつもいろいろなアンテナを立てているつもりですが、最近は情報が多すぎて何を注目していいのか分からないというのが本音です。それだけ動きが活発化しているということなんでしょう。研究会、セミナー、展示会、飲み会・・・など、ありとあらゆる情報収集の場にできるだけ顔を出して、あるいは口を出して、議論を吹っ掛け、罵声や賛同を浴びながら、自分の考えをまとめていこうと思います。
 さて、直近の話としては、「大学情報化のトータルプロデュース」というテーマです。今まで大学においては、それぞれの部署がそれぞれの考えに基づいて、いろいろな情報環境を用意し、開発してきました。特に規模が大きな大学ほど、それぞれの独自性という『印籠』に守られながら、大学全体から見たら非常に非効率的な開発が続けられてきたのではないでしょうか。しかし、コスト削減、情報機器環境やそれらを活用するソフトウェアーの進化の速さなどもあり、それをトータル的にまとめていかなければならないような機運が生まれ始めています。ただ、それを行えるだけの技術的な知識や学内をまとめ上げるノーハウを持ち合わせている人間は、そう多くはいません。我々のような常に新しい情報を感じ取るようにしている人間であっても、時としてガラパゴス状態に陥ってしまうことだってあるからです。その意味では、いろいろな企業が独自で開発している機器類やソフトウェアの進歩情報は、生ものとして常に受け止める姿勢が大切となります。ただ、自分から何もアイデアを出さないままに「情報ください!」と叫んだところで何も返ってこないことは明らかで、たとえ少しでも、あるいは他人には無価値なことと思っていたとしても、何らかの形で情報を出していくよう心掛けたいものです。その結果として新たな情報が届くことにつながるからです。その意味では、ソーシャルメディアの力は計り知れないものを持っている気がしてなりません。

 私は、

 『情報の物々交換』

 という考え方を多くの人たちと共有していき、浸透させていきたいものだと考えています。

 その意味で、Facebook

 『情報市場』・・・卸問屋

 であり、そこで作られていくグループは、

 『情報の小売商店』

 というところでしょうか。

 こんな風に考えていくと、今まで人間が作り上げてきた歴史に照らし合わせれば『情報市場』の将来も、『情報の小売商店』の未来も意外と分かり易く理解できるのではないかと思うようになってきました。
 ひとつ大きな違いがあるとすれば、この市場、商店では、物々交換はあっても、今のところ貨幣が存在しないことなのかもしれません。
 そんなところが、ソーシャルメディアの真髄ともいえますし、ある意味ボランティア精神に通じている気がして、今までのエコノミック社会からの脱出を図るための突破口になろうとしている気がしてなりません。はたして、それがどんな結果を作り上げるかは、まだまだ分かりませんが。